たくさん造った。
たくさん、たくさん。
いつか本物のぼくが生まれるかもしれないと思って。
ぼくはずっと聚映を見つめつづけた。
嘘つきなぼく。
我が儘なぼく。
都合のいいぼく。
なりふり構わないぼく。
目立ちたがりなぼく。
嫌いなぼくが次々と具現化されていく。
ぼくからどんどん剥がれ落ちていく。
いなくなってしまえ。
嫌いな自分はいらない自分。
ぼくとは別なものになってくれるのなら、迷惑なものがこの世に増えたって構わない。
ぼく自身は軽くなれるはずだったから。
一人いなくなるたびに、感じる虚しさ。
御しがたい自分を脱ぎ捨てているだけなのに、どうしてだろう。
ちっとも軽くならない。
余計なものがつく前の自分に還っているはずなのに、どんどんニセモノになっていってる気がする。
愛しいなんて思わない。
惜しいなんて思わない。
あれらはぼくから出た不要物。
理性で切り捨てた。けして感情で捨て去ったんじゃない。
うすっぺらい自分。
一人いなくなるたび、麗との記憶も欠けていく。
あのころは純粋だった。そう思うことが欺瞞なのだとぼくに知らしめるように。
ぼくに残された麗は、もう、数少ない。
麗と引き離された時の記憶もどこかに失くしてしまった。
他愛ないかくれんぼや昼寝の記憶だけがこの中に散らばっている。
優しい記憶だけを残したんだ。
あの頃は優しさに包まれていたと信じていたから。
だから、信じている自分だけがここに残った。
本当は神界にも嘘や負の感情に起因するものがたゆたっているって知っていたのに。
きれいな自分になりたかった。
きれいな空気を吸って、優しい人たちに囲まれて、憎むことも悲しむことも恐れることも知らずに育った自分を創造した。
でも、結局ぼくは自分で自分を造るという愚を犯してしまった。
理想の自分は未来の形無き自分であって、過去に実在した自分ではない。
欺瞞に満ちた自分を創造していたことに気づいたとき、分離してきた自分を再び受け入れる度量はぼくにはなかった。
理想を見せて自分を欺かせる。
<欺瞞>の獄炎の思惑通り、ぼくは首にでも噛みつかれればすぐ燃え尽きてしまうほど薄っぺらな自分になった。
光、気づいてる?
囚われた全ての人々の魂の中には、ぼくも含まれているんだよ。
君だけなんだ。
君だけが、ぼくを永遠の牢獄から解放できる。
待ってるよ。君がぼくに気づいてくれるまで。
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