絶望するたびに、もう何も見たくないと思った。もう何も耳にしたくないと思った。
それなのに、目を潰す勇気も、耳を閉ざす勇気もなく時は過ぎ、僕はまた絶望の底に突き落とされる。
もうこれが闇の最深なのだとその度に思うのに、何度も絶望が訪れるということは、僕は絶望しても再びこの世界に期待してしまっていたということだ。
絶望の淵から這い上がっていたのか、それとも淵の土を絶望するたびにさらに自ら掘り返していたのかは分からない。
分かることは、絶望するたびに僕はもうこの世界には生きていたくないと思うのに、今もこうしてのうのうと息をしているということ。
失って、失って、それでもなお絶望を味わうのは、失ってきたものが手から離れれば大切ではなくなってしまっていたから。
あんなに想いをかけていても、僕は心からそれらを大切に出来なかったんだ。
僕は、きっと何一つ愛せない。愛し続けられない。
この心は欠陥品。
この脳みそは失敗作。
どんなに心を注いでも、足元へと抜け落ちていってしまう。ざるのように溜まりやしない。
愛されたい。
だけど、でも。
愛したい。心を変えることなく、誰か一人だけを。
心移ることなく一人だけを愛せるようになれたら、きっと僕ははじめて心の安寧を味わうことが出来るのだろう。
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