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聖封神儀伝専用 王様の耳はロバの耳

「聖封神儀伝」のネタバレを含む妄想小ネタ雑記。

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育と海真相(ネタバレ)

海、前日までに麗に「望みを叶えてあげる。この日にこの部屋に来て、待ってるわ」と囁く。
綺瑪には「この日この時間に兄上が来るから、私が来るまでおもてなししていてくれない? 私、その前にちょっと別な用事が入ってしまったのよ。心配しないで。すぐ戻るから」

こうして、海の部屋で待っていた綺瑪を、麗は海の幻術により海と認識し、綺瑪は同じく海の幻術で麗を育と認識してしまう。
幻術は海の部屋自体にかけられていたもの。
香璃の幻影香。


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キースの初恋(R-15)


 これが初恋といえるのかどうか。
 彼女と初めて出会ったのは、俺がまだ五歳の時だった。

炎・葵

白い花弁が噴き出す血潮で赤く彩られる。
紅蓮の花咲き乱れる大地に降り立ちし少女は、赤き血に塗れながら泡沫の夢を見る。
白きドレスを纏い緑の庭に遊ぶ幼き日々の思い出を。

第三次神闇戦争末期の風と藍鐘和

「風、貴方は私が嫌ではないのですか? 怖くはないのですか?」
「藍鐘和、どうしたの急に(笑)」
「私は父から〈燭濫〉を継いだときから世界中を見通す目と世界中の音を拾う耳を授かりました」
「ああ、重いね。昔から思ってたけど人には重すぎる道具だ。知りたいことも知りたくないこともお構いなく知ってしまう。どこまで話すか、どこまで飲み込むかも君次第」
「知っている、と言っているのです」
「……知ってるよ。君がそれを重荷に感じていることも知っている」
「風……!」
「聖に頼んであげようか? 僕に関する記憶を消すように、って(笑)」
「笑わないでください。笑い事ではないのです。私は貴方の……」
「知ってる人は知ってるよ。君一人の秘密じゃない。それともそれ以上の何かがあったの? 僕の知らない僕の秘密」
「風、貴方という人は……どうしてそんなにも強いのです」
「決まってるだろう。大切なものがあるからだよ」
「でもその方はもう……」
「僕が君を友と信じている理由を教えてあげようか。君はなんでも知っているからだよ。なんでも、ね。ちなみに尊敬する理由はそんな秘密を口固く自分の中に封じ込めていられるところだ。僕だったら口軽くあれこれあることないこと尾ひれはヒレつけて枕語りに面白おかしく喋ってしまうところだ」
「……貴方だったらそうでしょうね」
「で、前の僕の知り合いが闇獄主にでもなっていた?」
「……」
「誰?」
「火炎法王様が最期に戦った相手の素性がわかりました」
「……」
「闇獄十二獄主〈貪欲〉の……リセ・サラスティック」
「……」
「その昔、先代周方皇の第二皇妃でいらした方です」
「……知ってる」
「それでも貴方はまだ、私を友と呼ぶのですか?」
「試すようなことするなよ。それとも君はもう僕を友とは呼びたくない?」
「いえ、けしてそんなわけでは……」
「それとも、利用されてるとでも思った? 利用させてもくれないほど口が固かったのに」
「風」
「教えてくれてありがとう。君の口から聞けてよかった」(身を翻す)
「待て、風! 君は……どっちだ?」
「(振り返って)どっち?」
「大切なものはすでにこの世にない。君の産みの母は闇に寝返り、今や君が仕えているのは君の運命を狂わせた張本人たちだ! 君がこの世界に味方する理由などもう何もないだろう?!」
「ふっ……あはははははは。君、潜入スパイには向いてないね。誰かに頼まれた? 統仲王……は違うか。あの人は知ってて好きに泳がせるタイプだ。わざわざ確認したりしない。それならじゃあ誰かな。育兄さんとか?」
「違う。誰かに言われたわけじゃない。探れなんてそんなこと……」
「抱えきれなくなった? 僕たち親しかったものね。友達ごっこ、長かったもの」
「ごっこだなんて、そんな……」
「楽しかったよ。ありが……」
「風! 死ぬのか? お前も、死ぬつもりか?」
「はっ。冗談よしてよ。別れが辛くないようにわざときつく当たったとでも思った?」
(藍鐘和、見捨てられたような表情になる)
「やめてよ。僕が性格悪いことくらい、とっくに気づいているでしょう? 信じないでよ。信じた方がバカを見るんだ」
「それでも君は懸命に夢を見せていたじゃないか。あんなことされて、性格ねじ切れないほうがどうかしてるってのに!」
「じゃあ僕はどうかしてるんだよ。藍鐘和、ごめん、一人にしてくれないか。驚いたことに僕、少し動揺してるみたいなんだ」
「……すまない。悪かった」
「さっきの答えだけど……僕、約束したんだ。探すって。どこに生まれ変わっていても必ず探し出すって、約束したんだ。だから……死ねない(苦笑)」
(唖然とする藍鐘和)
「君は……バカか? バカなのか?」
「あはは、やっぱそう思う? 僕もそう思う(笑)君からその言葉が聞けて嬉しいよ」(立ち去っていく風)
「死ぬなよ? 死ぬんじゃないぞ、風!」
(ドア口で振り返る風)
「それは……間もなく僕が死ぬってことかな?」
「!」
「藍鐘和。僕思うんだ。神様のいる世界はもう終わりだ。だから、だからもし僕らに次があるのなら、また友達をやろう」
「風……ああ、わかった。約束だぞ? ごっこじゃなく、本当の友達だぞ?」
「ぷっ。なんだよ、本当の友達って。青春? 今更?」
(藍鐘和、風の元まで歩いていき、両肩を掴む)
「約束しろ。約束、してくれ」
「僕は君がいてくれて、とても楽だったんだ。僕のことを全て知っていてくれる人がいるお陰で、僕は誰にもそれを喋ろうとは思わなかった。僕が今まで風をやってこられたのは君のお陰なんだよ、藍鐘和。友が全てを知っていてくれる。なのに変わらず僕に接してくれる。それがどれ程嬉しかったことか。こんな僕でもよければ約束するよ。次の世だなんて縁起でもないかもしれないけど、君がそう望んでくれるのなら」

これより、風は育と共に闇獄界へ渡ることになる。
神の世は黄昏を迎え、幕を閉じようとしていた。

スハイル(3-6-5)

スハイルは鏡を鉱土宮から追い出した首謀者ということで、小物だけどそれなりの地位の人ってことで名前だけ出していました。いや、藺柳鐶のそばに侍っているシーンがあったような気もするけれど。
それくらいやっつけな小物雑魚名前だけキャラだったんですが、なんだか急に大きくなっておいしいところもってっちゃいましたね。

好きなのに、というと語弊が出そうですが、何とかこうしてほしいと思っても思いが伝わらなくて、相手の心はどんどん離れて行って、自分の心も黒く塗りつぶされていくという感じは、積年も相まってよほど苦しかったに違いありません。
望んだ未来が手に入らないことの方が多いとはいえ、すれ違いを重ね、伝えたいことをうまく伝えられず、それでも一番近くにいなきゃならなければ、残された時間と天秤にかけて失望と絶望ばかりが大きくなっていったのだろうか、と。

へたれなおぼっちゃま鏡ですが、開眼してくれればスハイルも報われるでしょう。
本当はスハイル生き残って開眼した鏡の補佐を続けるっていうのもうっすら考えていたんですけど、だめでしたね。

スハイルが考えたことといえば、鏡への恨みや復讐心も多分にあったと思うのですが、砂漠に放逐した時点で、あれ、実は藺柳鐶や闇獄界の魔の手の届かないところに逃がしたんじゃないか、と。
で、錬が何かあったら鏡に力を貸してやってくれとか頼み込んでいた情報もしっかり掴んでいて、砂漠に放逐されついでに、目を醒ました鏡が自分を斃しに来てくれればいいな、と。
闇獄軍や闇獄主を引き入れた自分は今や完全に鉱土の国や神界にとっては悪役だし、悪役だけど宰相としてそれなりの魔力や知力やらを認められていた自分を鏡が斃したら、鏡の地位が上がるんじゃないか、と。
だから、本当ははなから斃される気満々だったんじゃないか、と。

だけど、結局鏡は借りてきた天宮軍は闇獄兵を倒すことに使い、自分の身一つで来てしまった。
悪役ぶりを印象付け、誰一人として自分を擁護するものを出さないために魔物にまでなって鉱土の国の重臣たちに被害を及ぼしたのに、番狂わせで徹たちにぼこられ、ようやく鏡が来たと思ったらその身一つ。
できることなら天宮軍も含め、衆人環視は多い方がよかったのに(以下、のっとられました→)、どこまでも何も考えてない奴、というか、どこまでいっても思想がシンクロしない奴。
ここまで来ると呆れ果ててものも言えない。
何に呆れてるかって?
それでもあいつを王として支えたいといまだ願っている自分にだ。
あいつはどこまでもマイペースで、どこまでも自分本位で、どこまでも俺のことなんか人と思っちゃくれてない。
自分のことを忘れて、俺を神様か何かだと思ってるんだ。
馬鹿だな。本当、究極の阿呆だ。
だけど、「スハイル」って、ここに来るなり魔物と化していた俺をそう呼んだお前の声に、俺は正気を取り戻させられた。
わかるのか、って。
泣きたくなった。
お前と俺とを繋ぐものは、実は何も途切れていなかったんじゃないかって、今までの自分の行いも含めて途方に暮れた。
なんでわかったんだろうな。姿かたちも何もかも違っていたはずなのに。獣の臭いに消されて俺の香りさえしなかったことだろう。それなのに、お前はそれが俺だと分かったんだな。
そこなんだよ。お前のすごいところは。
そこなんだ。
見えてないようでちゃんと見えている。分かっていないようでちゃんと分かっている。
それは当たり前に皆が持っているようでいて、年を取るにつれてどんどんなくしていってしまうものなんだ。
鏡。
俺とお前、ようやく今日、向かい合えたな。
ようやく今日、俺の気持ちが伝えられたな。俺の願いを受け取ってくれたな。
時間はもう無くなってしまったけれど、お前の言ってくれた通りいつかまた、鉱土の国に生まれ変わることがあったら、その時は、そうだな、今度は若い俺が老いたお前を支えてやろう。
また、お前の宰相となって。
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ユジラスカの館で「聖封神儀伝」を連載しています。
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