樒「ねぇねぇ、風兄様ってカインに嫌われていたんでしょ?」
宏希「うっ」
桔梗「こらこら、樒ちゃん。どうしたの急に。河山君のさわやかな笑顔がひくついているわよ」
宏希「こほんっ」
樒「最近、空気読みすぎてると先に進まないってわかっちゃって。でね、そのカインって今、茉莉ちゃんでしょう?」
桔梗「現世篇の女の子たちの名前、花の名前が多いものね」
宏希「昔のワープロの変換で字面がいいのを選んだ結果らしいけどね」
樒「それで花言葉調べてみたんだけど、見て見てーこれ。茉莉花(ジャスミン)の花言葉、『愛らしさ、優美、素直、温和、無邪気』ここまではすごくいい感じじゃない?」
宏希「そ、そうだね……」
樒「で、この後なんだけど『あなたは私のもの、私はあなたについていく』ってあって、そういえばカイン、いつも風兄様がいるところの陰に隠れて風兄様のこと見てたなぁって」
宏希「うっ……」
樒「『私はあなたについていく』って、いかにも忠誠誓ってる〈影〉らしいけど、見てるっていうよりは監視してるって感じだったよね」
宏希「ぐっ、うっ」
桔梗「『あなたは私のもの』って、いつも気になってて聞けなかったのだけど、風はどうしてカインにあんなに毛嫌いされるようになったのかしら。もしかして、『あなたは私のもの』って思わせるようなことでもしてたの?」
(壁の陰から茉莉が宏希を睨むように見ている)
宏希「わーっ、わーっ、わーっ」(樒から本を奪い取って閉じる)
(桔梗と樒、顔を見合わせる)
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