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聖封神儀伝専用 王様の耳はロバの耳

「聖封神儀伝」のネタバレを含む妄想小ネタ雑記。

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鏡を見つめて(エルメノ)

たくさん造った。
たくさん、たくさん。
いつか本物のぼくが生まれるかもしれないと思って。

ぼくはずっと聚映を見つめつづけた。

嘘つきなぼく。
我が儘なぼく。
都合のいいぼく。
なりふり構わないぼく。
目立ちたがりなぼく。

嫌いなぼくが次々と具現化されていく。
ぼくからどんどん剥がれ落ちていく。

いなくなってしまえ。
嫌いな自分はいらない自分。
ぼくとは別なものになってくれるのなら、迷惑なものがこの世に増えたって構わない。
ぼく自身は軽くなれるはずだったから。

一人いなくなるたびに、感じる虚しさ。
御しがたい自分を脱ぎ捨てているだけなのに、どうしてだろう。
ちっとも軽くならない。
余計なものがつく前の自分に還っているはずなのに、どんどんニセモノになっていってる気がする。

愛しいなんて思わない。
惜しいなんて思わない。
あれらはぼくから出た不要物。
理性で切り捨てた。けして感情で捨て去ったんじゃない。

うすっぺらい自分。
一人いなくなるたび、麗との記憶も欠けていく。
あのころは純粋だった。そう思うことが欺瞞なのだとぼくに知らしめるように。
ぼくに残された麗は、もう、数少ない。
麗と引き離された時の記憶もどこかに失くしてしまった。
他愛ないかくれんぼや昼寝の記憶だけがこの中に散らばっている。
優しい記憶だけを残したんだ。
あの頃は優しさに包まれていたと信じていたから。
だから、信じている自分だけがここに残った。

本当は神界にも嘘や負の感情に起因するものがたゆたっているって知っていたのに。

きれいな自分になりたかった。
きれいな空気を吸って、優しい人たちに囲まれて、憎むことも悲しむことも恐れることも知らずに育った自分を創造した。

でも、結局ぼくは自分で自分を造るという愚を犯してしまった。
理想の自分は未来の形無き自分であって、過去に実在した自分ではない。
欺瞞に満ちた自分を創造していたことに気づいたとき、分離してきた自分を再び受け入れる度量はぼくにはなかった。

理想を見せて自分を欺かせる。
<欺瞞>の獄炎の思惑通り、ぼくは首にでも噛みつかれればすぐ燃え尽きてしまうほど薄っぺらな自分になった。

光、気づいてる?
囚われた全ての人々の魂の中には、ぼくも含まれているんだよ。
君だけなんだ。
君だけが、ぼくを永遠の牢獄から解放できる。
待ってるよ。君がぼくに気づいてくれるまで。
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業―オリジナル―(エルメノ)

僕はどこ?
誰かの代わりになるのは簡単。
他人のことならよく見えるもの。
誰かの代わりとして求められることにも慣れている。
僕は誰?
僕は麗だったり朝来だったり、〈欺瞞〉のエルメノ・ガルシェビチだったりする。
でも、どれも本物じゃない。

生まれたときから一つの体に別の奴と一緒に放り込まれていた。
「君はエルメノとカルーラ二人がいてこその君なんだよ」
そんな言葉に感動なんかしなかった。
そもそもこの体に僕だけだったら、僕はこの体を象徴するエルメノという名のままに自分ひとりを実感することが出来ただろう。
僕は、僕だけで僕なんだ。
カルーラはもう一人の僕じゃない。
あれは完全に僕と正反対の性質を持つ他人だ。

誰かのふりをするのは簡単。
誰かの代わりになることにも慣れている。
でも、カルーラにはなられなかった。
僕がカルーラになってしまったら、どこにも僕がいなくなってしまう。
カルーラさえいなければ、僕はたった一人のオリジナルであれただろう。

一人になりたい。たった一人に。
いつも一人きりでいるのに、僕はそんなときに限ってエルメノじゃないんだ。
どこにいるんだろう、本当の僕は。
探すのは、辛くて苦しい。
だから、僕はまた他の誰かになりすます。
自分は麗だと信じ込むことで。
自分は朝来だと信じ込むことで。
僕は僕を探さなくても済むから。

カルーラ。
お前の影が今も僕の心に闇を落とす。
体が分かたれたのに、僕は闇に落ち、君はまんまと光の世界に残って、僕の欲しかった称号を手に入れた。
君が僕の代わりをすることに躊躇いなかったのも、また気に食わない。
君はつまり、僕のことを真に他人だと思っていたってわけだ。
はじめから僕のことなど歯牙にもかけていなかったわけだ。
僕が表に出ていた時も、勝手にやっていればいいと思っていたんだろ?
いずれ女神が自分に微笑むと知っていたから。
たまらないよ。
ああ、たまらない。
結局、僕はお前に僕を認めさせたいだけだったんだ。
お前が僕を認めてくれたら、そのときようやく僕は僕を見つけられる気がする。

麗×アイカ(4-4)

知らない、聞いてないよ!
それはなし! とはじめっから決めてたはずじゃないか。
なんてこというんだよ、エルメノ!

はっ、エルメノだから嘘かもしれない・・・どっちだ? どっちなんだ?
(作者すらも混乱させるエルメノの一言;;)

満たされぬ心(麗、光)

絶望するたびに、もう何も見たくないと思った。もう何も耳にしたくないと思った。
それなのに、目を潰す勇気も、耳を閉ざす勇気もなく時は過ぎ、僕はまた絶望の底に突き落とされる。
もうこれが闇の最深なのだとその度に思うのに、何度も絶望が訪れるということは、僕は絶望しても再びこの世界に期待してしまっていたということだ。
絶望の淵から這い上がっていたのか、それとも淵の土を絶望するたびにさらに自ら掘り返していたのかは分からない。
分かることは、絶望するたびに僕はもうこの世界には生きていたくないと思うのに、今もこうしてのうのうと息をしているということ。

失って、失って、それでもなお絶望を味わうのは、失ってきたものが手から離れれば大切ではなくなってしまっていたから。
あんなに想いをかけていても、僕は心からそれらを大切に出来なかったんだ。
僕は、きっと何一つ愛せない。愛し続けられない。
この心は欠陥品。
この脳みそは失敗作。
どんなに心を注いでも、足元へと抜け落ちていってしまう。ざるのように溜まりやしない。

愛されたい。
だけど、でも。
愛したい。心を変えることなく、誰か一人だけを。
心移ることなく一人だけを愛せるようになれたら、きっと僕ははじめて心の安寧を味わうことが出来るのだろう。

桔梗と葵の馴れ初め(ねためも)

桔梗は小学校2年の時に京都から東京に転校してきているが、このとき同じクラスでクラスのボスだったのが葵。
男子と野球やサッカーやら一緒になってはしゃいでいる葵は当時から世話好きで、お淑やか系転校生にも親身になって生活に早くなれるように協力してあげていた。
が、桔梗はどんなに親しく話しかけても自分を見て話してくれているような気がしない。
他のクラスメイトよりも親しい表情で返してくれるが、自分の背後にでも立ってる人物に話しかけているような気がしていたのだ。
「誰に話しかけてんだよ!?」
と切れた葵に、桔梗はしらばっくれて逃げようとするが、葵はタックルをかけ、しばし乱闘モードに。
「ふざけんなよ? おれは科野葵だ。他の誰でもない。お前が藤坂桔梗以外の誰でもないように、おれは科野葵ただ一人なんだよ。おれ以外に用事があんなら、もうおれには話しかけるな。直接そいつと話せ。話し方なんか知らないけどな」
つかみ合いの殴り合いを繰り返した末、身体中に青あざをつくった桔梗はぱちりと目を覚ます。
「私は、藤坂桔梗以外の誰でもない・・・? 私は、藤坂桔梗・・・くすくす、あっはははははは」
「なんだよ」
「いいえ。そのとおりだと思って。そうよ。私は藤坂桔梗だもの。他の誰でもない、藤坂桔梗。ねぇ、科野さん。名前って、便利ね」
葵は実際桔梗のその言葉にかなりむっと来たが、はじめて桔梗が自分を見て話しかけてくれた気がしたので、気にしないことにした。

小学生女子でも殴り合って友情を芽生えさせたという・・・。
ちなみに岩城の初等部出身者の間では、あの藤坂桔梗が科野葵と殴り合いのけんかをしたことがあるということは勿論タブー。
葵だけはたまに思い出話として笑い飛ばしながら話すことがあるが、周囲は睨みを利かせる桔梗に青くなっていて、何の反応も返せないでいる。

多分、樒はこの話はまだ知らない。
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自己紹介:
ユジラスカの館で「聖封神儀伝」を連載しています。
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