ほんと、獣のようにがっつくのね。
それがあんたの望みだろ?
あたしの望み?
獣を飼ってみたかったから、オレを拾ったんだろ?
ふん。女に合わせて抱き方を変えてるっていうの?
器用だろ?
あきれた。
あんたの望みは獣のように本能のままめちゃくちゃにされること。埋まることのないその胸の空っぽを忘れるくらい、貪られること。
貴方に愛されたいなんて思ってなんかいないわ。
愛してほしい男をペット呼ばわりする女なんて聞いたことねぇよ。
愛してほしい男には逃げられた。顔にそうかいてある。
捨てたのよ。
じゃあその男もペットだったってことだ。
……。
身体の関係なんてほんとはどうでもいいんだろ? ほんとに愛してほしい男にはそんなこと、求めてない。
貴方に何がわかるっていうの?
炎を探していたとき、偶然、ね。
これも神様の悪戯かな。
神? でき損ないの人間でしょ。
本当にいるのさ。カミサマって方は。
あんたにとりついてるその炎だって、もとはあの方のものだ。
世界を創った神は別にいるって、ほんとだったのね。
でも今はそんなことはどうでもいいわ。
さすが、〈欲望〉を抱えていると、渇くのも早いねぇ。
でも満たされたらおしまいになってしまう。
だから欲望をすり替える。
どんなに抱いても満たされないはずだ。
満たされてはいるのよ? 今までで一番、貴方とは相性がいいみたい。
それは光栄。
じゃあ次はどうしてほしい?
そうね。
それなら、本来の姿に戻ってみて。
いいでしょう?
……さすが〈欲望〉の主は違うわ。
気遣わなくていいのよ。
私の本当の望みは貴方も知る通り。
貴方が叶えられることじゃないんだから。
だから、存分にあたしを満たして。壊れるくらいめちゃくちゃにして、あたしにあの子のことを忘れさせて。
リセ……それが今のオレにできる、あんたへの精一杯なら。
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