ああ、この人はきれいできれいできれいで、穢れを知らない人なんだ。
だからこんなにも強く輝けるんだ。
迷わず、己の掲げるものだけが正義だと信じることができるんだ。
何も知らないから。
この世界がまだきれいなままだと信じて疑わないから、だから傷つくこともない。
かわいそうな人。
太陽の光を浴びてきらきらと輝きが増すほどに、憎悪は募る。
あたしの中の陰は増す。
黒く黒く陰って、どんどん汚いものになっていく。
この人は知らない。
あたしという人もいることを。
この人は気づいていない。
あたしの中にくすぶる自分への憎悪を。
自分が、あたしの欲する全てのものを持っているということを。
望んで、望んで望んで望んで。
望んで、望んでも、決して敵わないものを持っているということを。
きれいな人。
純粋で真っ白で。
ね?
だからあたしが奪ってあげる。
真っ白なあなた。
きれいなあなた。
あたしが教えてあげる。
この世の穢い部分。
人の狭く穢い心根を。
それでもまっすぐに顔をあげてあなたの正義を掲げられるなら、やって見せてくれるがいいわ。
折れない正義に裁かれるなら、私の魂も本望というものでしょう。
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