ランダム台詞メモ。関連なし。
「ねぇ、桔梗。知ってるんだよ、僕。君が海じゃないって」
「……そう。だから?」
「それでも僕は……桔梗が好きなんだ」
「……そんな」
驚きもなく呟いたあと、桔梗は一度言葉を呑みこむように切って小さく笑いを漏らした。
「そんな同情するような恋ばかりしてたら、誰からも愛してもらえないわよ」
「!!!」
研ぎ澄まされた氷の刃。突き放そうとする感情のない瞳。
「同情?」
傷ついてないわけじゃない。
「違う! この想いは同情なんかじゃない。僕は桔梗が好きなんだ! 年の差は無理だけど、身長差くらいすぐに追いついてみせるから。ガキっぽいところも直すから。だから……っ」
「あなたが好きだったのは海でしょう、麗?」
桔梗は容赦なく僕を過去の名前で呼んだ。
「私が海じゃないって知っているってことは、私が誰かも知っているのでしょう? それでも私を好きだと言うの?」
「前世なんか関係ない! 麗の想い人なんか関係ない! 僕は……僕が桔梗を好きなんだ。海の延長じゃなく、桔梗自身を!」
必死に想いをぶつける僕が、うざいくらい桔梗の瞳いっぱいに映っていた。
その姿をどれくらい桔梗が見つめてくれていたのか、僕には分からない。
ただ、桔梗は微笑んだんだ。
「私は……藤坂桔梗は、誰も信じない。藤坂桔梗は誰も好きにならない。誰も、愛さない」
静かに、穏やかに、そう告げた。
僕が初めて聞く桔梗の本音。
誰の声も届かない、とても孤独な少女が目の前にいた。
桔梗「闇獄界の炎を持つ者がみんな狂気に荒んでなきゃならない道理はないわ」
光「……桔梗……」
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