そうだ、ぼくは世界を造る力を手にいれたんだ。
この世界の者はみんな、ぼくの言うことを従順に聞く。ぼくが必要ないと言えばあっさり消える。
ここはぼくだけの世界。ぼくだけの人々(おもちゃ)。
なのに満たされた気がしないのはどうしてだろうね。
やっぱり君がいないからなのかな、麗。
君さえ、恐れる者などなにもないこの世界でまたぼくと永遠に遊んでくれるなら、ぼくの望みは叶うんだ。
そうだよ。
還りたい。
あの頃に還りたいだけなんだ。
麗、君と無邪気に冰麗城を走り回っていたあの頃に。
気付いてくれたかい?
だから、ぼくはこの鏡に冰麗城を映してきたんだ。本物そっくりだろう? 木も草も、鳥達も。
でも、この冰麗城はぼく達がかくれんぼしていたときの冰麗城じゃない。草も鳥も代が重ねられ、庭の大木すら孫世代よりも代が進んでしまっている。
聖刻法王。
君なら分かるよね?
時を巻き戻そうとした君なら、ぼくの願いが分かるよね?
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