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聖封神儀伝専用 王様の耳はロバの耳

「聖封神儀伝」のネタバレを含む妄想小ネタ雑記。

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エルメノと樒

「君は狡い人間だね。自分に都合の悪い記憶は全て封じて自分の過去から逃げている。――ぼくと、同じだ」
「同じ?」
「ぼくは人をだますのが好き。だって、ぼくが仕掛けた罠で、十人が十人、みんな驚いてくれる。そして、賞賛を、時に怒りを、彼らは間違いなく首謀者のぼくに向けてくれる。してやったりって、思うだろう?」
「わたしはそんなこと思わない。罠を腫れるほど頭もよくないし、そんなことして注目を集めたって、何も嬉しくない」
「彼らをだますのは、ただのぼくの快楽、趣味だ。だって、彼らはあまりにたやすくだまされ、そしてすぐに見破ってしまう。それが真実ではないと。ねぇ、気づきなよ。君もだましているだろう? ぼくと同じ人を」
「だましている? わたしが?」
「自分を。君も、自分を欺いている。そして、それに気づかないふりをしようとしている。……気づいているのにだまされた不利をし続けるというのは、なかなかに骨の折れることだよね。でも、自分だけはだまされ続けていてもらわなきゃ困る。ぼくたちがそれぞれ抱える真実は、ぼくたちにとってそれぞれ都合が悪すぎる。例えば、今の自分という存在が揺らぎかねないほどに」




エルメノは、闇獄主になどなりたくなかった。
だけど、そうしなきゃ命をつなげなかった。
まだ、カルーラに己の力の半分を委譲していない。麗は片翼をもがれたまま。引き継がなきゃ。全て、引き継がなきゃ。
だって。ぼくはもう穢れてしまった。
麗。君は清冽な精神の持ち主。ぼくが横にいて穢すわけにはいかない。君と繋がりあうことができるのは、心が清いものでなければ駄目なんだ。
いやだよ。本当は嫌なんだ。
ぼくより汚いものだったカルーラの方が、今はぼくよりもきれいだなんて。
ぼくのことを裏切った二人。
しってる。わかってる。
裏切ったんじゃない。ぼくは、自分から手を離した。恨まないって決めたのに。
決めたのに。

麗。
君の隣にいていいのはぼくだけだ。
それが叶わないというのなら、ゲームをしようか。
かくれんぼだ。
大好きだったよね。
ぼくたちは毎日のようにこの遊びに興じていた。
だって、お互い必ず探し出せると分かっていたから。
ぼくは君の半身。君はぼくの半身。
ばらばらになることなどありえない。許されない。
これが、最後の遊び。
お互い、見つけられるといい。
大切なものを。
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ユジラスカの館で「聖封神儀伝」を連載しています。
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