鏡が自分で選んだんですよ。スハイルは今でこそ見た目の年齢はかなり離れていますが、鏡の幼馴染みでありライバルだったんです。スハイルは勉学に武術に鏡よりも抜きん出ていて、あれでいて若い頃はなかなかの美丈夫でしてね、今の正妻も昔は大変な美姫でしたが、鏡と競ってスハイルがものにしたんですよ。
おいおい、これじゃあスハイルと鏡、どっちが息子かわからねぇじゃねぇか。
鏡がぐれたくなるのもわかるぜ。
でもなんだって鏡はスハイルを側においてるんだ?
そんなの自分が楽したいに決まってるじゃないですか。
でも鏡はスハイルの頭だけは押さえておかなきゃならなかったんです。
任せきりにしたあげく反乱を起こさせ、神界人同士で戦わせるなんて本当に最低な王様です。
獅子は先人の谷底に我が子を落とすっていうが、まさか錬のやつ、わざとスハイルを焚き付けて反乱を起こさせ、錬を追い出させたんじゃないだろうな。うまく錬が玉座を奪還できれば、できのいいスハイルはクーデターの首謀者として排除することもできる。
錬、最低な王様がどんな奴か知ってるか? 息子かわいさに息子の成長に国民巻き込むのも辞さない奴のことだぞ。
私はもうとうの昔に王様じゃありませんよ。この世にいるのだって知ってる者はごくわずかです。それに何より、言ったでしょう? スハイルを側においているのは鏡の意思だと。
お前なぁ。本当は裏で色々と糸引いてるんだろう? でなきゃ昨日の今日で鏡一人で天宮から援軍を連れてこられるわけがない。錬があらかじめ天宮に根回しをしておいたんだ。
誠、大した奴だな。本当にあのちっこかった錬か?
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