葵篇の幕間にて毒で痺れてしまった龍。
仕方がないので、統仲王か育のどちらかに背負っていってもらおうと思ったのですが・・・
和「龍ちゃん、龍ちゃん、お父さんとお兄ちゃんと、どっちの背の上がいい?」
龍「どちらも嫌だ」
和「遠慮しなくていいんだよ。まだ綺瑪のことも関係ないし、聖も生まれてないし。小さい時のことじゃん」
龍「小さくともこの身体があの二人に預けられるかと思うと、虫唾が走る」
和「何言ってんのー。小さい頃は仲良し家族だったくせにー」
龍「私は誰の世話にもなりたくないんだ」
和「そんな子どもいないよー。大体、小さい時は泣き虫の甘えっこのお母さんべったりだったじゃないの。何をいまさら」
龍「それなら愛優妃の……」
和「ああ、統仲王の背の上がいいとね」
龍「やめろ。あの男だけは絶対に嫌だ」
和「あれでも龍が小さい時はかわいがっていたんだよー?」
龍「断る! ……兄上でいい(小声)」
和「ん? 聞こえない」
龍「兄上にしてくれ! あの男とだけは、いくら幼いからとはいえ、何も知らないとはいえ、何されるか分かったものではない! 絶対に絡みたくないっ」(スタスタスタスタ)
和「あーあ、行っちゃったよ。お父さん、随分嫌われましたね」
統「相っ変わらず愛い奴よのぅ。いいから私にしておいてくれ。どうせだから頬ずりもサービスしてやる。無精ひげを残しておかなくてはな。はっはっはっはっ」
あまりに統仲王がご機嫌なので、育さんに頼むことにしました。
統「ちっ」
龍「ほっ」
育(苦笑)
維斗・・・(びん底眼鏡で前髪七三分け時)地味真面目系、(眼鏡をとって髪を下ろしてれば)俺様的綺麗系
星・・・無愛想なクール系
宏希・・・ちょっとアンニュイな爽やか系
徹・・・(オールバック時)陽気なラテン系、(前髪を下ろしていれば意外と普通に)かっこいい系
樹・・・かわいい純朴小動物系
光・・・ナマイキ子ども系
詩音・・・綺麗なお姉さん系
樒・・・癒しかわいい系
桔梗・・・大人清楚系
葵・・・姐御サバサバ元気系
徹ってオールバックじゃなきゃただのかっこいい男子高校生になっちゃうんだ。
オールバックって個性だね。
維斗のびん底眼鏡は今でも売っているんだろうか。
いまどきのスマートなフレームでもいいけど、やっぱり私の中では牛乳びん底眼鏡の七三分けなのよ。
お金あるんだからコンタクトなりレンズ薄くするなりできるんだけど。
宏希ってやっぱ困るわー。
女子にもてる、かっこいいって、ある意味一番特徴でないもの。
でも宏希の生い立ちとか着目すると、そんなに自信があるわけでもないし、真っ直ぐ明るいわけでもない。
実は陰だらけ。
顔のつくりや服のセンスは正統さわやか系だけど、表情に陰がちょぴっと混ざってると宏希らしくなるのかも。
と気づいたら、楽になった。
葵篇までの宏希はどうも女子にもてるってのを意識してたせいで宏希っぽくなくなっちゃってたから。
樹はお姉様方にかわいがられそうな感じで。
でもこの人もただ純朴なかわいい見た目だけじゃないんだよな。
かわいい見た目の中にだんだんどろどろが増えていくっていうか。
そのうち目がかわいい系にあらざりしものになっていくのかも。
猫っ毛。
詩音の見た目もなかなかイメージが固定されなくて。(特に髪型)
癒し系? ってずっと思ってたんだけど、どうも押しが強かったり、維斗とはバンバン口げんかするから、なんか違うなぁって。
描いてみたら意外と将来綺麗なお姉さん系が当てはまって、なるほど、と。
世話焼きな部分もあるし、お菓子つくり趣味だし、前世が彼女だし、お姉さん系ってうん、当てはまるかも。
星は言わずもがな、無愛想なクール系。口数も少ないむっつり。(とかいうと怒られそうだ)
髪の色も薄いし、目も茶色い。
樒は妹系なのかとも思ったけど、彼女お姉さんだし、ほややんとしてるけど洋海にはびしっと言うし。
意外に目はぱっちりあいてるよね。
葵はポニーテール。元気な少女のイメージ。髪下ろすと美少女なんだろう。
桔梗は二本みつあみ。朝何時に起きて編んでるんだろう。たまに時間があるときは頭部は編みこみにしている。きっと朝鏡の前に座って髪を編みながら藤坂桔梗になるんだろうね。
光は優等生なかんじもしつつナマイキな子供に映る感じで。
組み合わせ見ていくと、
俺様綺麗系×綺麗なお姉さん系
無愛想クール系×癒しかわいい系
ちょっとアンニュイなさわやか系×姐御サバサバ元気系
ってところか。
似てるのが集まってたり、逆なのが集まってたり。
ちなみに
佳杜菜・・・お嬢様系
で決まりでしょ。
陽気なラテン系×お嬢様系
ちょっと吹き出すものがあるよ。
桔梗と光は組み合わせると桔梗が怒るからやめとこうね。
樹も然り。
桔梗、向けられる矢印は多いから。(だって裏主人公だもん)
神社の裏はすぐ崖になっていて、夏も冬も絶えず飛沫が上がるほど波が打ちつけていた。祖母は口を酸っぱくして裏の崖に行ってはいけないと言っていたけど、僕と涼湖は二人手を繋いで歩ける細い道を知っていた。
その日の午後も、僕と涼湖は波しぶきを浴びながら春の昼下がりを過ごしていた。
いたずらな春風が吹いたのはそんなときだった。
「あ、帽子が…」
「どないした、涼湖」
「待って、待って、私の帽子……」
そうでなくても大人と子供がようやく二人通れる程度の狭い道だ。涼湖が僕の手をすり抜けて海の方を向いただけで、涼湖の足元からは崖だった石ころが転がり落ちていく。
「あかん、涼湖! 戻れ!」
涼湖が風に飛ばされた帽子に手を伸ばそうとした瞬間、その高波はやって来た。
崖から落ちるまでもなかった。
海は迎えに来たのだ。
おそらくは、涼湖を。
「涼湖っ!」
僕は幼い妹の体を抱き締めて、高波の襲来に備えた。
海は軽々と僕らを飲み込んだ。
呑み込み、渦の中に巻き込み、上も下もわからなくして、僕らをばらばらに引き離した。
「お兄ちゃんっ!」
水のなかだというのに、悲壮に歪んだ涼湖の幼い顔と悲鳴が僕の最期の記憶となった。
涼湖。
君は覚えているだろうか。
僕のことを。
幼すぎて忘れてしまったかもしれないね。
あるいは、恐ろしい記憶など波の合間に置いてきてしまったかもしれないね。
無理に思い出さなくていい。
僕はただ、君に海の中で見つけたこの帽子を返してあげたいだけだ。
それ以上、望むべくもない。
「季李沙様、お時間です」
「いま、行くわ」
ただ、もし君が望まずにいまの道を歩んでいるというのなら、僕は手をこまねいているわけにはいかない。
望んでいたとしても、その道が苦痛に満ち溢れているのなら、僕はその苦痛を取り除いてやりたい。
苦労しただろう? いままで、さんざん。
もう君が辛苦を味わう必要なんかない。
君はまた僕の妹の皇涼湖に戻ればいい。
記憶が邪魔だというのなら、すべてを消してあげよう。
僕は君を人魚姫の泡になんかさせない。
君は足を手に入れ、声を取り戻し、本当に愛する人と結ばれるべきなんだ。
それはもう、僕ではなくなっているかもしれない。
それでもいい。
君の魂が安らげるときが来るのなら。君の未来がこの先も繋がっていくというのなら