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聖封神儀伝専用 王様の耳はロバの耳

「聖封神儀伝」のネタバレを含む妄想小ネタ雑記。

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満たされぬ心(麗、光)

絶望するたびに、もう何も見たくないと思った。もう何も耳にしたくないと思った。
それなのに、目を潰す勇気も、耳を閉ざす勇気もなく時は過ぎ、僕はまた絶望の底に突き落とされる。
もうこれが闇の最深なのだとその度に思うのに、何度も絶望が訪れるということは、僕は絶望しても再びこの世界に期待してしまっていたということだ。
絶望の淵から這い上がっていたのか、それとも淵の土を絶望するたびにさらに自ら掘り返していたのかは分からない。
分かることは、絶望するたびに僕はもうこの世界には生きていたくないと思うのに、今もこうしてのうのうと息をしているということ。

失って、失って、それでもなお絶望を味わうのは、失ってきたものが手から離れれば大切ではなくなってしまっていたから。
あんなに想いをかけていても、僕は心からそれらを大切に出来なかったんだ。
僕は、きっと何一つ愛せない。愛し続けられない。
この心は欠陥品。
この脳みそは失敗作。
どんなに心を注いでも、足元へと抜け落ちていってしまう。ざるのように溜まりやしない。

愛されたい。
だけど、でも。
愛したい。心を変えることなく、誰か一人だけを。
心移ることなく一人だけを愛せるようになれたら、きっと僕ははじめて心の安寧を味わうことが出来るのだろう。
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鏡幻~欺くということ~

諦めるために、人は自分を欺き、誰かを騙す。
自分を誤魔化す度に自分は磨り減り、誰かを騙す度に自分は居場所を失っていく。
そのうち、欺かれ続けた自分は身体だけの抜け殻になり、居場所すら要らなくなる。

居場所がほしくて吐いていた嘘なのに。

一体、どこまで欺き続ければいいのだろう。
いっそ欺かれていると知らなければ楽だったろうに。
自分を偽り続けることは辛い。
それはきっと僕自身、自分で自分に嘘をついていると知っているから。
吐かれる側が嘘と知って受け入れていれば、それは嘘にはならない。
甘受という言葉を遠ざけたくて、自分に嘘を塗り重ねてるだけ。

親愛なる麗様

一生なんか、望んでいなかった。
貴方にとって、たった刹那の思い出でよかった。
貴方の刹那が、わたしの永遠だから。
法王の妻になったサヨリ様に憧れくらいはあるけれど、自分ではあまりに恐れ多いと思っていた。戯れで十分だと、決めていた。

なのに貴方はわがままで、わたしの心など諮りもせずに、貴方のいない永遠にわたしを縛りつけた。

わたしは人でありたかったのに。
永遠を信じられるくらい、わたしは強くない。
人として生まれたのだから、人として死ぬ。
それが、わたしの望み。
大罪を犯し、多くの人を手にかけたわたしにできる、それが唯一の贖罪。

だからわたしは待っているのです。
貴方に「おかえりなさい」を言うために。
貴方に「さようなら」を言うために。

この世で一番繊細で、わがままな貴方。
誰よりも冰い心を持つ貴方。
愛しています。心から。
あの頃、わたしの存在が少しでも貴方の緊張をほぐせていたらと願って止みません。
そして今、貴方が心から愛せる人に出会っていることを、わたしは願って止みません。

誤解なさらないでください。
わたしが人として死を願うのは、貴方への想いが消え果たからではありません。
これは約束なのです。
わたしがわたしと交わした、何よりも大切な約束。
そう、こればかりは貴方よりもです。
でも、貴方は分かってくださっていたはずです。
分かっていてくださっていると信じたからこそ、わたしは貴方の永遠に一瞬だけ関わったのです。

早く戻ってきてください。
そう願うことは、貴方の平穏な毎日を壊すことだと分かってはいます。
ですが、わたしも人なのです。
繰り返される毎日を、ただ死に向かってやり過ごす者なのです。
千年。子を看取り、孫を看取り、曾孫を看取り・・・どうか、どうかお分かりくださいませ。
人には、あまりに長すぎる時でございました。

アイカは今、貴方のお帰りをお迎えするためだけに冰麗城で働いております。

時を司る人たち

樒は未来-人界
緋桜は現在-神界
飛嵐は過去-闇獄界

のイメージ。
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HN:
和泉有穂
性別:
非公開
自己紹介:
ユジラスカの館で「聖封神儀伝」を連載しています。
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