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聖封神儀伝専用 王様の耳はロバの耳

「聖封神儀伝」のネタバレを含む妄想小ネタ雑記。

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1.鏡幻の魔術師 お花見(詩音)

 憧れだった。こうやってみんなでわいわい集まって桜の花を見ながらジュースを飲んだりお弁当を食べたりするのが。
 ずっとずっと、叶えたかった夢の一つ。
 愛優妃にとっても、わたしにとっても。
 愛優妃は毎年桜が咲いたときには、手料理を振舞って、統仲王や七人の子供たちと一緒に花を愛でるのが好きだった。でも聖とは一度もお花見をすることができなかった。
 わたしになってからは立場が逆で、もしかしてこれも聖を置き去りにしてきた報いなのかと思ったこともあったけれど、――よかった。
 樒ちゃんが笑ってる。
 リラックスして楽しそうに。
「詩音さん、この串カツおいしいね」
 わたしの手料理も喜んで食べてくれている。
「ありがとう」
 神様。
 いないって知ってるけど、お礼くらい言わせてください。
 わたしに、この時間を与えてくださってありがとう。
 かけがえのないこの時間があれば、この先に待ち受けているどんなことにも耐えていけそうな気がします。
「束の間の幸せだから愛しいのかなぁ」
「何哲学ぶってんですか。似合いませんよ、詩音には。それより、あそこのジュースとってください。それから卵サンドと照り焼きサンドも」
「……ったく、あんた何様?」
 この小憎たらしい男さえいなければ。いや、いてもいいけど、せめてもう少し気を使ってほしい。あれ取れ、これ取れ、って、わたしはあんたのお手伝いさんじゃないっての。
「ふっ、それはもちろん、生徒会長様ですよ。あ、木沢君とクリス君じゃないですか、あれは」
 しょうがないと思いつつも取ってあげたサンドイッチのお皿を手に、維斗は新たなお客に手を振りはじめる。維斗も、同じようなことを思ってるのかもしれない。
「あら、まあ、光くん今日は来られないって……」
「うん、そのつもりだったんだけど、凛は逃げないけど桜は時期があるからいってこいって父さんがさー」
「むしろ、ママさんと二人きりにしろって目で訴えられて、ね」
 クリス君に苦笑されて、光くんは赤くなる。
「僕たちの分、ある?」
 ぶっきらぼうに言ってしまうあたり、まだまだかわいい盛りなのね。
「たっくさん作ってきたから、座って、座って」
 そしてわたしはかいがいしく二人にお菓子やらサンドイッチをとりわける。
「ん~っ、おいしーっ」
 わたしの手料理に舌鼓を打つ彼らの顔を見るのが、わたしの幸せ。
 願わくば、この時間がずっと続いていきますように。
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1.鏡幻の魔術師 終章(守景樒版)

「桜、咲いてるかな」
 眠い六時間目の授業も終わって、わたしと桔梗、それに葵はお目当ての桜の木がある哲学の森への道を歩いていた。詩音さんと工藤君は、一度家にお弁当や飲み物を取りに行くからちょっと遅れると言っていた。
「校門のあたりのもいい感じだったからな。そっちの桜もいい頃合なんじゃない?」
 昨日の夜、遅くなったとはいえ、授業が終わってしまえばこっちのものだ。葵も気分が盛り上がってるのがよく分かる。桔梗も言葉や身体に出してはいないけれど、楽しみにしてはいるらしい。携帯で話す声が心なしか浮き立っている。
「うん、うん。わかったわ。おば様によろしくね。おじ様にも」
「光くん?」
 形態を切った桔梗に、わたしは尋ねた。
「そう。妹さんが生まれたから、今日は一緒にいたいんですって。クリス君もそっちに行ったみたい」
「そっかぁ。洋海も結局、部活抜け出すの難しそうだって言ってたし……」
「じゃあ、大人のお花見ができるな」
 うーん、と腕を組んだところで、後ろからポテトチップスやペットジュースを大量に詰め込んだ袋を持った片山先生が現れた。
「お、先生、やる気満々じゃん」
「当たり前だ。生徒のお花見に便乗するんだから少しくらいはな」
「ていうか、本当にいらっしゃるとは思わなかったわー」
「藤坂……お前、ほんとひどいやつだな」
「やだ、先生、冗談ですよ、冗談。あら、もう誰か先に来ているみたいね」
 森の入り口が見えてくる。薄暗い森の始まり。その道行きを照らすように、小さな湖の傍ら、薄紅色の花びらを数多につけた木が現れる。木の下には満開の花を愛でる人。
「龍、兄……」
 わたしは、立ち止まっていた。
 知ってる。わたし、この光景見たことがある。でもちょっと違うの。わたしが知っているのは銀の髪に白銀のマントを纏った背の高い人。顔立ちも似ているわけではないのに、それなのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。
『龍兄……お願い。その人のところには行かないで。聖が、いるじゃない。聖じゃだめなの……?』
 伝えたかったのに、伝えられなかった言葉。百年に一度、ユジラスカの花が咲く度に、龍兄は聖をお花見に連れて行ってくれたのに、いつからだろう。お花見に連れて行くどころか、ユジラスカが根を張るルガルダの森にさえ近づくのを嫌がるようになったのは。
「龍兄? 何言ってんだ、樒。ありゃ、夏城だろ? 寝不足か? おーい、なーつきー!」
 葵に軽く頭を小突かれて、わたしは守景樒の世界に戻ってくる。ダブっていた景色も徐々に一つに収まっていく。
「ごめんごめん、おそくなったー。あれ、樒ちゃん、こんなところで立ち止まってどうしたの?」
「あ、詩音さん。それに工藤君も。早かったんだね」
 詩音さんの腕にはバスケットがかけられ、心なしかいい匂いが漂ってきている。
「ほら、早く行こう?」
 促されるがままに、わたしは桜の木の下へと歩みだした。
「よっし。全員揃ったな。それじゃ、ジュースだけどかんぱーい!」
 泡立つ炭酸の入ったコップを手に、葵の音頭でわたしたちは家族団らんよろしく楽しくおしゃべりを開始した。なんだか得も言われぬくすぐったい気持ちが湧き起こってきたけど、きっとあの満開の桜のせいだろう。
 舞い落ちてきた桜の花びらが透明な炭酸に落ちて、小さな小さな波紋を広げていった。

1.鏡幻の魔術師 完結

鏡幻の魔術師、完結いたしました。
楽しかった~。
心残りといったら麗と育との絡みとかこうといつ来の絡みが全くなかったことくらいです。
いろいろ矛盾もあるけれど、今はとりあえず祝杯、です。

あ、まだ樒の終章書いてなかった。
それはまた、後ほど。

とりあえず、光くん、おつかれさまでした。
あと桔梗とエルメノとアイカさんも、ありがとうございました!

1-6-5~6(メモメモ)

エルメノの最期、ちょっと今日はもう疲れてて光が乗り切れてなくて、なんか冷たい感じ。手でも握って聞いてやれよ、と思いつつ、今日は修正なしです。
朝来の真実についても矛盾なところ探しておかなくては。
今日は、陽色が消えていくところとおばあちゃんアイカの正体が判明するあたりが、ものっすごく指ののりがよくて、そこで全て今日のエネルギーを使い果たしてしまった感がありました。
あんなに矛盾した伏線はっといて、よくまぁ最後の最後にこじつけられたものだと思います。
でも、陽色って名前好きだったから今後使えなくなっちゃってちょっと悲しい。
維斗の黒子さん的役割を担ってもらおうと思ってたのに。

今日書いた1-6-5を1-6-6にして樒視点で本物の朝来探したり、陽色に浄化の矢を放ってくれと頼まれるんだか自分は実は偽者だと告白されるのかは、(つまり1-6-5を書きなおす)かは、あした1-6-6を書いた感触で考えようと思います。

片山先生も会場にいるのすっかり忘れておりました。
会場って言うか、きっとどっかべつのところで置いてきぼり食ってるとか、あ、あの食われた洋海の人形か映像作ってたのが片山先生とか!!
そうだ、そういうことにして次でフォロー入れておこう。
洋海と光の絡みももう一度一言二言入れておきたいところだわ。
うんうん。

ダマサレタ(1-6-4)

わたしもだまされた。
てか、そんなことにして、あとあと影をどうするんだってかんじなんだけど。
ていうか、わりときにいってたのに・・・クリス。。。
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ユジラスカの館で「聖封神儀伝」を連載しています。
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